こんにちは、菜七子です。
先日、NHKで放送されていた「プロジェクトX」が復活するというニュースを聞いて とても驚きました。20年近く前の番組ですが、もう一度復活するなんて…!!
私は放送当時、この番組の大ファンでした。 毎週録画して好きな回は何度も繰り返し見ていましたし、中島みゆきさんの「地上の星」ももちろんCDを買いました。懐かしい!
今の若い方は知らない方がほとんどだと思いますので、ここで私が選んだプロジェクトXの神回を独断と偏見で発表させて頂きたいと思いますが、 その前に軽く番組の概要をご紹介します。
プロジェクトX 概要
番組名 プロジェクトX〜挑戦者たち〜
制作 NHK 放送期間 2000年3月28日~2005年12月28日
司会 国井雅比古/久保純子/膳場貴子(久保アナが育児休暇の為、途中から交代)
最高視聴率20.0%(あさま山荘事件)を記録した、超人気番組です。
実は2002年か2003年頃、番組プロデューサーの今井彰氏の講演を聞きに行った事があります。
放送されていた火曜夜9時台は「開運!何でも鑑定団」など視聴率の激戦区であり、企画案を提出した際、一般企業のサラリーマンが主役になる番組なんて数字が取れるわけないだろうと言われたというエピソードを話されていました。
ちなみに今井氏がそれまでの放送の中で個人的に印象に残っている回は「妻へ贈ったダイニングキッチン 」の回だったそうです。
プロジェクトX 個人的神回ベスト5
それでは早速、個人的神回ランキングを発表させていただきます!
第5位 不屈のドラマ 瀬戸大橋 ~世紀の難工事に挑む~
本州と四国を結ぶ瀬戸大橋が完成するまでの物語。
この回で特筆すべきなのは、何といっても「男が惚れる男」と称されたリーダー・杉田秀夫さんの圧倒的な魅力でしょう。
瀬戸内海は激しい海流で有名で、それ故に水難事故も多発する地帯でした。
なので、四国に住む人々にとっては本州へ直接渡れる橋の建設は長年の悲願だったそうです。
その工事を指導したのが杉田さんでしたが、まずルックスがカッコ良かった(おい)
いかつい顔立ちに爛々と光る大きな目、きりっとした太い眉。
昭和の映画スターかな?というような、オーラを感じる風貌でした。
もちろんルックスだけではなく、強いリーダーシップと温かい人柄で人望厚く、敵対していた漁師さん達からもやがて慕われていったというエピソードはまるでジャンプの主人公みたいだなと思いました。正直惚れました。
番組内ではいくつか彼の名言が出ましたが、一番カッコ良かったのはこちらです。
“男は常に沈着冷静であらねばならない
プロジェクトX〜挑戦者たち〜 より
いかなる苦境に立っても
うわずった声を出してはならない
悠々と構えよ
淡々と語れ”
この名言は痺れましたね~~。
今の時代、こんな漢気ある人っているんでしょうか?
第4位 幻の金堂 ゼロからの挑戦 ~薬師寺・鬼の名工と若武者たち~
戦国時代に焼け落ちた薬師寺の金堂を再建する物語。
大工の中でも最高の技術と知識が必要とされる宮大工、その中でも超一流の宮大工と呼ばれた西岡常一さんと、彼の元で 働く若い大工達の苦闘が描かれています。
削ったカンナくずの向こうが透けて見えたほど卓越した腕前を持つ西岡さんは、同時に東大の学者を論破するほど豊富な古代建築の知識を持つ人でした。
驚くのは彼の職人としての姿勢です。
宮大工としての仕事が無かった時でも、普通の家づくりは 「あんなもん作ってたら大工としての腕が落ちる」と言って受けず、鍋蓋などを作って生計を立てていたそうです。マジかよ…
部下にも直接指導する事はほとんどなく、いわゆる「見て覚えろ」タイプのリーダーでした。
今の時代なら嫌われる上司No.1かと思われますが、効率という世界を超えた先にあるのが本物の職人ではないかと思わざるを得ないほど、西岡さんの言葉には説得力と威厳がありました。
工事も最終盤にさしかかった頃、図面と寸分の狂いの無い仕事を要求していた西岡さんが突然、屋根を支える木を設計より5cm高く組むように若手の大工に指導します。どうしてそんな事をするのかと聞かれると、西岡さんの答えは 「屋根の重みで、1000年後に設計図通りになる」というものでした。
1000年先を見越した仕事をするという、本物の職人の仕事にただただ圧倒された回でした。
ちなみに西岡さんは2012年、「鬼に訊け 宮大工 西岡常一の遺言」というタイトルでドキュメンタリー映画になっているようです。
第3位 海底3000メートルの大捜索~HIIロケットエンジンを探し出せ~
1999年、H-IIロケット8号機が打ち上げ4分後にメインエンジンが異常をおこし、 指令破壊される事故がありました。 JAXAの前身であるNASDAは、原因究明の為に太平洋のどこかに落ちたメインエンジンのLE-7を何としてでも回収しなければなりませんでした。
でも、広大な海をどう捜索したら良いのか?
助けてくれたのは、海洋探査のプロである海洋科学技術センター(現JAMSTEC)の人々でした。
あの事故の時、日本中が騒然となって「税金の無駄!」「ロケット開発をやめろ!」とそれはもうものすごいバッシングをNASDAに浴びせていた事を覚えています。 そんな針のムシロのような状況で、砂漠から砂の一粒を探し出すような途方もないプロジェクトが行われていたなんて全く知りませんでした。
ロケットの軌道や風力、海流の速度など総合して落下範囲を正しく計算した科学者チームもプロでしたし、指定された落下範囲をソナーを使ってくまなく捜索した海洋機構の方々も同じくプロだったと思います。
結局エンジンは無事に見つかり、エンジンがエラーを起こした原因も分かって、その経験が次のH-ⅡAロケットの成功に活かされていくのですが、あの時もし見つからなければ何年も開発は遅れたでしょう。関係者の方々の努力に感謝です。 (私はロケット好きなのです)
余談ですが、あの頃、ワイドショーから何から全てが「税金の無駄」という論調だった中、 ビートたけしだけが「ここがヘンだよ日本人」の中で「日本は科学立国で、科学技術でメシを食ってる国なんだ。 だからこういう物に対してもっと金かけなきゃダメなんだよ」と発言していました。
何て視野の広さを持つ人だろう、と感嘆したのを覚えています。
第2位 運命の船『宗谷』発進~南極観測・日本人が結集した880日~/極寒 南極越冬隊の奇跡~南極観測・11人の男たち~
こちらは珍しい2話連続物。TBSでドラマになった南極越冬隊のお話です。
前半は南極観測に向かう為の船・宗谷を作って出港するまで。 後編は南極に着いてからの苦闘を描いたお話です。
憶測ですが、おそらくこの2話が放送開始当初は最終話になる予定だったのだと思います。
前半は今まで番組に登場したホンダやソニーなどの、日本を代表する企業が次々に登場し、南極越冬隊の為に様々な技術提供をしてくれます。まさにプロジェクトXオールスターが集結した総力戦といった高揚感がありました。
後半は越冬隊リーダーの西堀栄三郎さんが若い隊員たちを研究者として、人間として、温かく導くという内容でした。 スタジオに招かれた元隊員の方がエピソードを話している最中に、西堀さんから受けた恩を思い出して声を上げて号泣する姿にもらい泣きしてしまいました。
そしてエンディングは、「その時誰もが挑戦者だった」というナレーションで閉められます。
はっきり言って、これはどう見ても最終回のテンションです。
おそらく当初はこの回で打ち切りにする予定だったのが、途中から爆発的な人気が出たので番組は継続が決定。その結果、最終回でもないのにやたら壮大な回が生まれる事になったのではないかと思います。
私も西堀さんのような素晴らしい師に出会いたかった…
第1位 「全島1万人 史上最大の脱出作戦」~三原山噴火・13時間のドラマ~
私にとってのベスト神回はこちらです!
プロジェクトXといったら、私は真っ先にこの回を思い出します。
実を言うと、プロジェクトXを一番初めに見たのがこの回だったのですが、放送が終わった後もしばらく涙が止まらないほど感動してしまいました。
お話は、伊豆大島の三原山の大噴火に伴って島民一万人を一晩で島から全員脱出させるという、かなり緊迫した内容でした。 夜の闇の中で不気味に光る真っ赤な溶岩が、港で船を待つ島民達に向かって迫ってくる映像はとても恐ろしかったです。自分がもしあの場所にいたら、恐怖できっとパニックになっていたと思います…。
三原山は過去に何度も大規模噴火を起こした火山ですが、この時は溶岩の活動がかなり活発になっていて、島に残っている昔の噴火口が一斉に火を噴き出す可能性もありました。一つ判断を誤れば大惨事になりかねない状況です。この危機に、沢山の人々が文字通り命がけで立ち向かいました。
避難を嫌がる高齢者を説得して周る消防団、
普段から防災への準備をしていた役場の公務員、
落石の危険もある中で大勢の島民を港まで移動させるバス運転手、
船が着く桟橋の灯りを絶やさない為に奮闘した発電所の所員…
普段スポットライトを浴びるような職種でない人々が自分の仕事を全うした結果、一万人の命を守る事が出来たという事実は、当時の自分にとっては価値観が変わる程の大きな衝撃でした。
当時大学生で、「地味な仕事はしたくないなぁ」なんて生意気な事を考えていた私でしたが、この回を見てぶん殴られた気分になりました。
人々の平穏な生活を守る職業が、何て尊く、何てカッコいい事か。
とても大事な事に気付かされた回でした。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
放送をご覧になっていた方の中には、「あの回が入って無いじゃないか!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、あくまで個人的なベスト5という事で、ご了承いただきたいと思います。
新シリーズは一体どういう題材を扱うのか?
オープニングは地上の星なのか?
いろいろ気になるところではありますが、新シリーズを楽しみに待ちたいと思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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